
「多様化が進む社会を生きるこどもたちに、違いがあっても楽しく仲良くできることを知っていてほしい。そんな思いで導入しました。疑問に対して自分で調べ、考えられるようになることを狙いとした世界コーナーでは、飛行機ではこの国からこの国までどんな経路で行くんだろう?など、こどもたち自らで問いを考える場面も!触って動きがあるものは楽しいようで、シンガポールのおもちゃ、チャプテは大人気でした!」
★お話を聞いたのは…
おおつかほうゆう保育園の4&5歳児担任 村田先生
★園で実施したのは…
・せかいタッチ
教材:動画教材、週めくりクイズ、マグータイムズ、レシピ、折り紙、世界を知る教材
・オンラインパーティ
10月:ハロウィンパーティ(フィンランド・香港)、
11月:シンガポールパーティ
12月:シンガポールパーティ
・せかいボックス
●日々の生活の中で世界に触れ、遊び、考える「せかいタッチ」。
導入の決め手は何ですか?
13人クラスで純日本人がふたり、他はミャンマー、ベトナム、ネパール、中国、アメリカのミックスなど多国籍の背景を持つクラス。日本人がマイノリティであり、圧倒されている状況だったんです。しかしこれから彼らが生きていくうえで、国際的に性別にも本人たちがマイノリティになる状況はありうること。それでもみんなが仲良くなれることや、同じ場所で暮らしているという一つの共通点しかなくても、楽しく仲良くできたりすることを知っていてほしいと思っていました。
また、こどもたち全員にとって、日本に住んでいて、日本の家庭で暮らしているということが肯定的な経験となってほしいとも考えていました。
これまでにも地球儀のボールなどで世界を知る教材は取り入れていたのですが、世界のことを学ぶ上で、先生たちが調べて情報提供する手間や、正しいかどうか確認するなど負担がありました。もっと気軽に海外をじっくり知っていくことができる教材があれば役立てるのではと思ったのです。
●動画や折り紙、クイズなどたくさんの教材や、様々な国とのパーティが開催されています。
園ではどのように実施されましたか?
たくさんの教材を活用しました!様々な国に関するいろいろなジャンルの教材があるのですが、シンガポールパーティの参加を決めていたので、事前にシンガポールに関する学びを深めて興味関心を高めました。
中でも特によかった教材は二つ。
一つ目は、動画の「シンガポールで遊ぼう」です。座学は難しく集中力が続かなかったのですが、動画で体を動かすゲームもあり、レーシングカーやドリアンのゲームなど面白がっていました!
二つ目は、「シンガポールを食べよう」です。ロティプラタを自分たちで作ったんです!こども向けにスパイスなどを除いたシンプルな料理であるのでシンガポールらしさは分からなかったのですが、料理の名前をおぼえたり、本場の味付けを想像したりして楽しみました。
また、週替わりクイズは隙間時間の活用の点でとてもよかったです。時間が決まっているスケジュールの合間など、こどもたちが落ち着かないタイミングで、時間調整として手元に置いておきました。クイズなのでぱっと取り出して使え、こどもたちを一気に引きつけることができました。
●せかいのおもちゃや楽器、絵本が届く「せかいボックス」はどうでしたか?
せかいボックスについては、マグーが大好きなので、マグーからのプレゼントと聞いて大喜びしていました。こどもたちにとって、せかいタッチという名称ではなく、マグーが海外との接点なんです。今日マグーだよ、と呼びかけますし、プロジェクターを準備していると「今日マグーなんだ」「マグー好き」とこどもが話しかけてきたりします。

※マグー:せかいタッチをガイドするキャラクター。パーティでは通訳しながら子供たちを盛り上げたり、教材では世界のことを教えてくれたりする。先生たちへのご案内や相談にのったり、教材サイトではマグーAIがいつでも先生の質問に回答してくれます!
最初はすべてに対してまずは触ってみたいという反応でした。説明は後回しにして、例えば衣装については、海外独特のにおいで臭い、というような異国の感覚を肌で感じられたのではないかと思います。楽器も、触って、音を鳴らして、あ、こうやってやるんだ、と説明なしで進めました。
このように、一回目は何が入っているか確認し、一か月後に改めて遊んでみる、という流れでゆっくり時間をかけて楽しみました。特にチャプテ(シンガポールのおもちゃ)など、触って動きがあるものは人気でした!
●こどもたちの反応について、印象に残ったエピソードがあれば教えてください。
シンガポールとのパーティで、日本の食べ物で代表的な食べ物を教えて、というマグーの質問に対して、こどもたちがマンゴーなどを挙げていたんです。確かに日本でも食べることはできますが、大人ならしないような回答ですよね。
これを受けて、改めて日本のことや、保護者の母国の食べ物を知れるように、こどもたたちに、「保護者の日本の好きな食べ物と、母国の好きな食べ物」を聞いてきてもらいました。これによって、家庭での当たり前や常識を比較しながら、自分たちの住む日本を改めて認識している様子がうかがえました。
また、園内に設けた「世界コーナー」では、こどもたちが世界のことについて考える様子が度々見られます。世界コーナーには印刷した教材と、地球儀、海外の絵本や図鑑を置いています。壁面に世界地図があり、海外の保護者に生まれを聞いて、だれだれのパパママはここで生まれた、など分かるようにしています。途中で、あまりにも日本のことを知らないな、と気づいて途中で追加しました。

あるとき6歳の子が、マケドニアは日本と友達だ、とテレビで言っていた、と教えてくれたことがあります。この子は自分から園内の「世界コーナー」に行って、マケドニアここにあるね、と確認したり、みんなで国の場所クイズをしたりしていました。
また、ネパールの子が母国に帰った時に、日本からネパールに行くには中国を経由しなければならない。という話を教えてくれたので、マケドニアにはロシア経由じゃない?など自分たちで難しいことを考えたりしている様子も見られ、そういう発想になるんだと驚きました。
さらに、週替わりクイズで聞いたことのある南極大陸、オーストラリア、などを世界地図で見つけて、日本からアメリカと南極大陸どちらが近いか?というクイズを出し、それに対しても自分なりの答えを考えたりすることで学びを広げている様子が見て取れました。
「世界コーナー」は疑問に対して自分で調べ、考えられるようになるというのが狙いだったため、そこが上手く機能したと考えています。
●保護者の方々からの反応はありましたか。
喜んでくださっていると思います。保護者会の時に撮影可のパーティの動画を投影して見せたのですが、海外出身の方含め、笑ってみていらっしゃいました。保護者の母国を大切にすることは、その子供たちにとってもバックグラウンドを、存在を肯定される権利で、さらに、親が子供の取り組みに興味を持てるきっかけになると考えています。

おおつかほうゆう保育園(東京都豊島区)
子ども達の健やかな成長や
保護者の安心した子育て環境を整備し、
地域に貢献することを目指している保育園です。
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