6月30日(木)に、シンクアロット主催のオンライン無料セミナー『幼稚園・保育園のためのSDGsセミナー 環境テーマ編』を開催いたしました。本セミナーは大好評セミナーの第二弾で、400園を超える園関係者の方にお申込みいただいたイベントの様子をご報告いたします。
■目次
■イベント概要
わたしたちシンクアロットはオンライン国際交流プログラム「EN-TRY世界交流」を提供しています。その中で様々な海外や日本の園、園関係者さまとお付き合いさせて頂き、「SDGs」というキーワードを耳にすることがとても増えたように感じておりました。一方で、何をどうやってこどもたちに伝えたら、というお悩みも同時にお伺いすることが多くありました。
そこで、第一弾では「幼稚園・保育園のための!SDGsセミナー」と題して、SDGsの概要、また、園での活動のヒントとなるような海外園や日本園における取組事例をご紹介いたしました。
第一回のレポートはこちら
【第一回セミナーの目次】
・SDGsへの関心の高まりについて
・SDGsの概要
・SDGs×幼児保育・教育
・取り組み事例
・まとめ
第一弾の大好評を受け、本セミナーは第二弾として、水や森林の保護、ごみ問題など「環境」にスポットを当てて、海外や日本の園での取り組みを中心にご紹介しました。 SDGsの中で、ゴール14「海の豊かさを守ろう」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」など、環境にまつわるゴールが重要なテーマとして設定されています。自然は、子ども達との距離感も近く日常の保育・教育ともなじみやすいことから、取り組まれている園も多いように思います。すでに取り組んでいる園にも、これから始めたいと考えていらっしゃる園にも参考になる、こどもや先生たちが熱中するポイントについてもお伝えしました。
弊社はビジョンとして「様々な選択肢に触れることで、世界観を広げる」ことを掲げており、SDGsが包含する多様なゴールや考え方は、園と一緒にことどもたちにつたえるべきコンセプトとして共感しています。
そこで弊社は園におけるSDGs活動のサポーター・伴奏者の立場から、交流のある園さまなどから実情をお伺いし、情報共有させていただきました。園での活動の参考になったというお声をたくさんいただいており、続編の実施も検討しております!
●「環境テーマ編」について
今回環境テーマ、と呼んでいるのは、ウェディングケーキモデルの階層のうち、自然・環境に対する学びを指しています。
ウェディングケーキモデルとは、ストックホルムにあるレジリエンス研究所の所長が考案した、“SDGsの概念”を表す構造モデルです。SDGsの全17目標はそれぞれ大きく3つの階層から成り、それらが密接に関わっているということを、ウェディングケーキの形になぞらえて表されています。
下から順番に
① 環境:自然・環境に対するまなび
② 社会:人・多様性の尊重に対するまなび
③ 経済:お金・仕組み・労働に対するまなび
であり、今回のセミナーでは、園の活動との親和性が高く取り組みやすい領域である①環境 についてご紹介しました。
今回のレポートでは、セミナーでご紹介した事例の一部と、実施園の先生方からお伺いしたポイントについてご紹介します。
●海外園事例紹介
セミナーでは、EN-TRY世界交流にご参加いただいている園のうち、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、ケニア、クロアチアの5か国の園の事例をご紹介いたしました。本レポートではシンガポールの例を簡単にご紹介します。
ご紹介したのはDreamkids kindergarden。シンガポールの幼稚園で、園として、Responsible Citizens(責任ある市民)になるためのまなびを大切にしていらっしゃいます。そこで掲げているのは下記の4点。
・まずは自分自身に責任をもつ
・次は両親や友達など身近な人に責任をもつ
・そして地域のコミュニティに責任をもつ
・最後に、地球に責任をもつ
地球への責任は、SDGsの考えに大きく関わってくるもの。園全体で、積極的にSDGsの活動にも取り組んでいらっしゃいます。
こちらのプロジェクトでは、まず初めに学びのテーマとするゴールを設定。今回はゴール15を中心に3と12をセットしています。次に、学びの目標をセットし、期間と複数の取り組みを設計。ゴールに合わせて、6か月で複数の取り組みを定めていますが、Start Small Dream Big (小さく始めて、大きな夢を見よう)がコンセプトなので、一つ一つの取り組みはシンプルなものです。
プロジェクトの最初のプログラムは、
「what’s on your place?」(なにをたべてるのかな?)
自分達は何を食べていて、それはどこから来たのか?に関心を持つことが目的であり、こどもたちは、ミニ宿題として、直近3日間、お家で何を食べたかを写真で記録します。そして、朝、昼、夜、何を食べたのかをみんなの前で発表します。
次は
「Our Edible Garden」(ミニ農場)
園の裏に食用の植物を育てる「ミニ農場」をつくり、こどもたちでケアします。
毎日の水やりと、その際に「I love you!」のようなポジティブな声かけをして自分たちで育て、また、収穫時期も自分たちで判断します。(収穫時期については、この植物は、色が赤→黒になったら収穫などのアドバイスは先生からしておきます)
そして
「Interview Farmers」(農家さんへインタビュー)
オンラインで農家さんにインタビューし、シンガポール国内の最新農法ではなく、マレーシアの伝統的な農法でつくる果物や野菜について、こどもたちから質問します。
最後に
「Sustainable Singapore」(持続可能なシンガポール)
シンガポールでは食料自給率が低いこともあるため、コロナ初期パニック購買があり、こどもたちも怖かった記憶が強く残っています。そこで、どうすれば、みんなが困ることなく食べ物が手に入るか、理想的なシンガポール(サステナブルシンガポール)を絵で表現します。また、絵を描く上で、シンガポール国内での農業がどう行われているか※についても学んでいます
※ 農地が狭いため、水耕栽培や機械などテクノロジーを活用した農業が主流
●日本園事例紹介
セミナーでは、明日葉保育園大倉山園さまと、かいけ心正こども園さまの取り組みについて具体的にご紹介し、それぞれの先生方から園でSDGsに取り組むためのポイントをお伝えしました。本レポートでは、取り組みの概要のみ簡単にまとめさせていただきました。
●明日葉保育園大倉山園さま
明日葉保育園大倉山園さまでは、SDGsの各ゴールを見据えた様々な取り組みをされていらっしゃいます。たくさんの活動をされていらっしゃるのですが、本レポートでそのうち3つの活動について取り上げさせていただきます。
▲残飯のコンポスト化
▲ろ過装置の作成
▲こども達によるSDGs発表会
【参考】あしたばドア
あしたばドアとは、明日葉保育園オリジナルの年間プログラムです。
① 世界の保育園とのオンライン交流
② 動画によるSDGsプログラム
③ 園それぞれでの活動
以上の3つを組み合わせていらっしゃいます。
【先生からお伺いしたポイント】
明日葉保育園 大倉山園 原田綾乃先生に取材させていただきました!
Q. こどもたちがSDGsのまなびに熱中するためのポイントは?
こどもたちの個性にあった取組を考えること
年中だから年長だから、など年齢だけでは、どういった取組がよいかは判断できない。 話し合うのが好きな子たちもいれば、何かを作ったりする方が好きな子たちもいるので その世代や子どもたちがより関心を持ちやすいような取り組みを考える
先生からこどもたちに対する”問い”と”続けること”
SDGsを特別視して活動するのではなく、日常の保育の中で、それを通じてこどもたちの関心・考えを引き出すことが目的。そのため、先生のなぜこうなったの?どういう仕組み?などの問いが大切。一方、最初は”知る”ことから始まるので、活動を継続する中で深めていく
あくまで楽しく遊びの中に。身近に感じてもらうこと
肩肘張って始めるのではなく、楽しい!からこどもたちの関心ははじまる
テーマによっては、身近に感じてくれるようなきっかけ・背景作りも大切
●かいけ心正こども園さま
かいけ心正こども園さまが実施されているのは、「じぶんごとぷろじぇくと」。
子どもも大人も関係なく、ひとり一人が世界の問題について、他人事ではなく「自分事」として捉えられるように。そして、周りの環境ばかりを変えようとするのではなく「自分(の意識)ごと」変われるように。そんな思いをSDGsの活動を通して実現するべく発足したプロジェクトです。
このプロジェクトの中でSDGsの各ゴールを見据えた様々な取り組みをされていらっしゃるのですが、本レポートではそのうち3つの活動について取り上げさせていただきました。
▲廃車を活用したリサイクルセンター こどもたちや先生のなじみが深い廃車になったライオンバスを活用し、
「リサイクルランド」として復活。ゴミの分別や有効活用の拠点に
▲里山の保護活動(心正の森大作戦)
木や枝をノコギリやハサミを使って伐採し、光が差し込む明るい山づくりを目指す
また、家具や建築物の解体で生じた材木を再利用した木の欠片で、寄木細工作りも実施
▲海にまつわる一連の取り組み
講演を聞いて海に対する学びを深め、実際にみんなで海岸清掃を実施します。
さらに、海のごみとなってしまうマイクロプラでキーホルダーづくりや魚の解体見学をするなど、一連の取り組みを通じてより深く興味をもち、様々な視点で考えています。
【先生からお伺いしたポイント】
かいけ心正こども園 秋田 昌志 理事長、長谷川 小春先生に取材させていただきました!
Q. 先生たちがSDGsに慣れ親しみ、熱中するには?
現場の負担が小さいことから始め、ハードルを下げる
現場はとても忙しいので、また新しいこと?となると、先生方も嫌になってしまいます。ごはんを残さないようにしよう、手洗いの際に水を使いすぎないようにしようなど、普段やっていることの意味付けや置き換えなど、現場の負担感が小さいことから始めていきました。
そういった活動を重ねていくことで、何か大変なことをやらなきゃ、という意識から、こんなことでもいいんだ!という風に意識が変わっていったと思います
こどもたちと一緒に楽しむ、こどもたちの熱量に引っ張ってもらう
活動が増えると、こどもたちのほうが熱心になり、深く考えたり、色々な紐づけをします。 (そんなつもりでなくとも、それってSDGsだとこういうことだよね?と言われてひやっとすることも)。ご家庭でも、保護者の方にこどもたちが教える立場にあることが多いようです。 そうすると、こどもたちと一緒に楽しみたい、熱量にこたえたい、という風に先生や保護者も、より 自然と熱心になっていくと思います
●まとめ
SDGs達成にむけて取り組んでいらっしゃる園の先生方のお話を踏まえ、園でのSDGs活動ステップとしてまとめました。
セミナーでは各ステップごとにやり方を説明しましたが、要点はこちら。園によってできることは異なると思いますが、ぜひ参考にしてみてください。
・大きなゴールを捉えるが、とっかかりやすそうなテーマから小さく始めればよい
・難しく考えず、先生の負担を少なく、こども達の個性を鑑みた馴染みやすそうな内容に
・こども達や先生の反応を見ながら、振り返り、反復して考えを深める
●SDGsプログラム「ちきゅうふれんず」
幼稚園・保育園のSDGsへの取り組みを支援する活動の一環として、弊社が開発しました「ちきゅうふれんず」についてもご紹介させていただきました。
こどもたちが楽しく世界を学び身近に感じることで、自分で考え関心を持ち続けるをことを目的としたプログラムです。
また、異国の同世代の友達とオンラインで交流し、多様な価値観を受け入れ、育むことができるオンライン交流も、SDGs・ESDの実践であると確信しています。
●「保育園・幼稚園で取り組むEN-TRYのSDGs」オンラインセミナーのご案内
日本で海外で、ちいさなこどもたちも、世界と繋がり、SDGsについて考えています!
わたしたちEN-TRYは、上記にご紹介いたしました園向けSDGsプログラム「ちきゅうフレンズ」や、オンライン国際交流プログラム「世界交流EN-TRY」を提供しています。
こどもたちが楽しく興味を持って取り組むポイントや、実際に体験したこどもたち、保護者の方々の声もご紹介いたします!具体的にどんな体験を通してSDGsを学んだり、多様性に触れたりすることができるのかをお伝えするセミナーです。
【実施日時】
8月25日(木)13:00~14:00
見逃し配信あり!
※見逃し配信をご希望される方は、8/26(金)以降、準備ができ次第ご登録のメールアドレス宛に録画配信のご案内をいたしますので配信開始までしばらくお待ちください。9/2(金)になってもメールが届かない場合はご連絡ください。
【実施形態】
無料オンラインライブ
【お申込み方法】
下記イベント登録フォームからお申込みいただいた方に、自動返信で参加用URLをお送りします。見逃し配信希望の方も下記フォームからお申し込みください。
数分以内にメールが届かない場合は、迷惑メールフォルダに入ってしまっている場合や、メールアドレスが間違っている可能性がありますのでご確認ください。
園でも取り組みを考えてはいるけど…具体的にはどんな方法があるの?
保護者の方は、プログラムについてどんな想いを持っているの?
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひご参加ください!
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